2025.08.24

ブランドプロミスとは?必要な理由や各社の事例も紹介

# Branding

ブランドに込めた「約束」は、顧客との信頼関係を築くうえで欠かせない要素です。ただし、企業理念やキャッチコピーとの違いが曖昧なままでは、思い描くブランド像が伝わりにくくなってしまいます。

この記事では、ブランドプロミスの意味や必要性、他社の事例などを紹介します。自社のブランドづくりや再構築時の参考にしてみてください。

ブランドプロミスとは?


ブランドプロミスとは、特定のブランドにおいて独自性や一貫性を持たせるために、顧客に約束している「価値の提案」のことです。

価値の提案は、ブランドとの接点を持った顧客に対して「帰属意識(=ここを選んでいて良かったと思ってもらえる意識)」を持ってもらうために、企業側がけん引して行く必要のある価値の提案です。

ブランドプロミスは、タグラインやスローガン、キャッチコピーといった形で顕在化することが多いですが、企業理念やビジョン、ミッションなどとは異なり、それ自体が目的となることはありません。

いわば、そこにユニークで一貫した「価値の提案」があることが理想な状態です。

ブランドプロミスは時代とともに更新されることがあるため、既存のブランドプロミスが自社にとって最適な状態であるか、定期的に見直しをすることをおすすめします。

ブランドプロミスと混同しやすい用語


ブランドプロミスと似た言葉に企業理念やキャッチコピーがあります。これらはそれぞれ異なる意味を持っているため、正しく理解しておきましょう。

ブランドプロミスと企業理念の違い

企業理念とは、社員やステークホルダーに対し「私たちは何のために存在しているのか(存在意義)」「何を大切にするのか(価値観)」「何を達成するのか(志)」などを示した思想や指針のことです。

一方、ブランドプロミスは「私たちのブランドは、〇〇を絶対に守ります」と顧客に対して約束する内容です。同じ価値観や志を持つ仲間を集めたり、意思決定の指針にするなどといった使い方がされています。

近年では、企業理念とブランドプロミスを一体化させる動きが加速しており、思想を浸透させやすくする効果があると言われています。

ブランドプロミスとキャッチコピーの違い

キャッチコピーは、商品やサービスの魅力を伝えるための宣伝文句であり、消費者の印象に残りやすくするための工夫が求められます。トレンドやキャンペーン内容に合わせて柔軟に変更されるのが一般的です。

一方、ブランドプロミスは企業が顧客に対して約束する本質的な価値や姿勢を示したもので、長期的かつ根幹的な要素です。変更はまれで、リブランディングなどの大きな転換がある場合に限られます。

例えば「100 %○○原料使用」といったブランドプロミスを掲げる企業では、新商品にもその原料が含まれるように厳格なルールを設けているケースがあります。

しかし、ラインナップの見直しや原料調達の変化によって、その実現が困難になることもあります。このように、ブランドプロミスと現実のギャップに直面する場面があるのも事実です。

ブランドプロミスを一貫して守ることは容易ではありません。再構築する際には、理想だけでなく、実現可能な仕組みとして設計することが重要です。

ブランドプロミスはなぜ必要?


ブランドプロミスが求められる理由は、大きく分けて2つあります。

1. 選ばれるブランドになるため

市場には多くの類似商品・サービスがあふれており、消費者がブランドを選ぶ基準は日々複雑になっています。こうした中で、ブランドプロミスは「このブランドは何を約束してくれるのか?」という問いに答える存在です。

明確な約束があることで、顧客はブランドの価値や方向性を理解しやすくなり「自分に合っている」「共感できる」と感じることで選ばれやすくなります。つまり、ブランドプロミスは競合との差別化において大きな力を発揮します。

2. 統一されたブランド体験をつくるため

ブランドは広告やWebサイト、店舗などとさまざまなチャネルを通じて顧客と接点を持ちます。こうした接点で一貫したメッセージや体験を提供するには、すべての活動の軸となる「ブランドの約束」が欠かせません。

ブランドプロミスを明確にしておくことで、関わる従業員もその約束を守る意識を持って行動するようになり、組織全体で統一感のあるブランドづくりが可能になります。これは、顧客への訴求力を高めるだけでなく、インナーブランディングの強化にもつながります。

ブランドプロミスの事例一覧


各社のブランドプロミスを参考に、自社のブランドプロミスを考えてみてください。

ここでは、ブランドプロミスの事例を紹介します。

マクドナルド

マクドナルドのブランドプロミスは、下記4つを柱としています。

  • 品質(クオリティ)
  • 接客(サービス)
  • 清潔さ(クリーンリネス)
  • 価格に見合った満足感(バリュー)


これは、品質・サービス・清潔さ・価値のすべてにおいて、顧客にとって信頼できる体験を提供することを意味します。

さらに「おいしさと笑顔 快適なひとときを すべてのお客様に」というメッセージを掲げており、店頭の「スマイル0円」の表記にも見られるように、笑顔を含めた心地よい時間の提供にも力を入れています。

例えば、近年のコロナ禍においては「清潔さ」を最優先に掲げ、時短営業や提供方法の見直しといった対策を積極的に実施しました。このように、マクドナルドは状況に応じて重点を置く価値を変えつつも、根幹にある約束を守り抜く姿勢を貫いています。

この事例からもわかるように、ブランドプロミスは時代や環境に応じて柔軟に運用しつつも、一貫性のあるブランド体験を支える指針として重要な役割を果たしています。

ヤマハ

ヤマハのブランドプロミスは、下記の通りです。

  • 新しい価値や体験を生み出すこと(Create)
  • 人々の感性や創造性に火をつけること(Inspire)
  • 心からの喜びや感動を届けること(Delight)


このプロミスは、音・音楽がもたらす喜びと感動を通じて、人々の心を豊かにしたいというヤマハの企業姿勢を表しています。

また、ヤマハは「音・音楽の力を信じて」という信念のもと、130年以上にわたり、楽器・音響機器・音楽教育など多彩な分野で事業を展開してきました。

ミッションとして掲げる「ヤマハがあるからこそ、心震える瞬間を創り出すことができる」というメッセージは、ブランドプロミスと強く結びつき、顧客に対する価値提供の指針となっています。

ソニー

ソニーは「ユーザーに感動をもたらし、人々の好奇心を刺激する会社であり続ける」というミッションを掲げています。さらに「テクノロジー・コンテンツ・サービスへの飽くなき情熱で、ソニーだからこそ提供できる新たな感動を生み出す」というビジョンを明確にしています。

2014年から2021年頃までは、企業スローガンとして「BE MOVED(心を動かす)」を使用し、ブランド全体で“感動”を中核に据えた価値提供を目指してきました。

ソニーは、エレクトロニクス、映画、音楽、金融など多様な事業を展開する中でも、「人々の心を動かす」というブランド価値を一貫して追求しています。

例えば、カテゴリーブランドである「PlayStation」では、「Play Has No Limits(遊びに限界はない)」というスローガンを掲げ、革新的な体験と感動を提供する姿勢を示しています。

このように、ミッション・ビジョンで掲げる価値観は、製品ブランドやサービスにも浸透しており、すべてのブランド活動が「感動」という共通軸でつながっています。

パナソニック

パナソニックはグローバルのコーポレートブランドとして「A  Better Life、 A Better World(より良い暮らし、より良い世界)」をブランドスローガンに掲げています。

このスローガンは、生活者一人ひとりにより良い暮らしを届けるとともに、地球や社会への貢献を目指す意思を象徴しています。

近年では、ホールディングス体制を経たうえで「暮らしのサステナビリティ」に注力し「A  Better Life、A  Better World」の価値観を軸に、イノベーションとエコデザインによる社会課題への貢献を強化しています。

これらの取り組みは、同社のグリーン経営やサステナビリティ戦略とも連動しています

このように「A  Better Life、 A Better  World」はパナソニックのブランドプロミスであり、単なるスローガンではなく、製品・サービス・社会貢献に一貫して貫かれる約束と言えます。

レクサス

レクサスのブランドスローガンは、創業当初の「The Relentless Pursuit of Perfection(完璧の執拗な追求)」から進化し、現在は「Experience Amazing(驚きに満ちた体験)」を掲げています。このスローガンは「機能を感性に」「パフォーマンスを情熱に」「技術を想像力に昇華する」といったブランドフィロソフィーと結びついており、車の性能だけでなく、感動を提供する体験価値に重きを置いている点が特長です。

販売の現場においても、専属コンシェルジュによる丁寧な接客や、商談・試乗時の細やかな気配りといった“おもてなし”が徹底されています。その結果、販売単位や店舗単位でも一貫して高品質なブランド体験が提供されており、ブランドプロミスを実際のサービスとして体現しています。

2024年度には、年間販売台数120万台という過去最高の目標に向けて取り組んでおり、マーケティングの内製化や新たな商品戦略など、常に挑戦を続ける姿勢が注目されています。レクサスは今後も、“驚きと感動”という体験を軸に、革新をデザインするブランドとして進化し続けていくでしょう。

星野リゾート(星のや)

星野リゾートは「日本を代表するリゾート運営会社になること」というビジョンを掲げています。

その中で、プレミアム宿泊ブランド「星のや」は、日本の暮らし・文化・美意識を再発見することを目的としたブランドプロミスをもとに「現代を休む日」というコンセプトで圧倒的な非日常を演出しています。

地域に根ざしたブランド体験を届けるため、各施設には地域ごとのブランドリーダーを配置し、独自のミッション・ビジョン・バリューを策定しています。

具体例として、長野・軽井沢エリアには「星のや軽井沢」とファミリー向けリゾート「リゾナーレ軽井沢」が併設され、それぞれ異なる客層に向けた滞在体験を提供しています。

パンデミック後の宿泊需要回復においても、同社は単なる価格施策ではなく、ブランド再構築を中心とした戦略を展開してきました。これはブランディング投資が顧客満足度とLTVを高め、業績回復につながるという成功事例としても評価されています

コカ・コーラ

コカ・コーラは「Refresh the world. Make a difference.(世界をリフレッシュし、違いを生み出す)」という企業理念を掲げています。

これは、単に飲料を提供するだけでなく、世界中の人々に前向きでハッピーなひとときを届け、社会全体にポジティブな変化をもたらすという強い想いを表したものです。

このパーパスに基づき、ミッションとして以下の3つを掲げています。

  • 世界中にさわやかさをお届けすること
  • 前向きでハッピーな気持ちを味わえるひとときをもたらすこと
  • 価値を生み出し、前向きな変化をもたらすこと

ビジョンは「消費者に愛され、身体と心をリフレッシュさせるブランドを創出し、持続可能なビジネスと共有されたより良い未来を実現すること」です。これらの価値観は、全世界におけるブランド戦略の核となっています。

縁達磨では縁起こしブランディングで商売繁盛を支援

縁達磨は、「商売繁盛の縁を引き起こすために、己の技を達人の域にまで磨き続ける。」というブランドプロミスを掲げています。

この一文には「縁」「達」「磨」という3つの漢字が含まれており、社名「縁達磨」の由来にもなっています。つまり、ブランドプロミスそのものが社名に込められているという、設計思想に基づいたユニークなブランディングを行っています。

この約束のもと、縁達磨はクライアントのブランド価値を最大化する「縁起こしブランディング」を実践しており、徹底した技の研鑽と誠実な姿勢で、商売繁盛を支援しています。

商売のお悩みはいつでもご相談ください

縁達磨は、ブランドプロミスから逆算する形で新しいロゴやタグライン、ウェブサイトなどのクリエイティブ制作をお手伝いすることが多いですが、最近は「志を形に」をテーマに、クライアントの長期的な成長にコミットすることを新たな支援領域として打ち出しています。

ブランドプロミスを軸に、商売繁盛の縁を引き起こすお手伝いをいたします。皆様からのご相談を心よりお待ちしております。

商売繁盛の縁を引き起こせるよう、一生懸命がんばります。

ご縁に感謝。

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